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by asbeautifuldays
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グロテスク

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光り輝く、夜のあたしを見てくれ。
堕落ではなく、解放。敗北ではなく、上昇。
昼の鎧が夜風にひらめくコートに変わる時、和恵は誰よりも自由になる。
一流企業に勤めるOLが、夜の街に立つようになった理由は何だったのか。
桐野夏生HPより


何年か前に起きた東電OL殺人事件をモチーフに書かれてます。慶応卒で東京電力に勤めるキャリアウーマンでありながらも、夜は娼婦として街に立っていた被害者。
モデルとなった被害者と名門高校の同窓生3人の人生がそれぞれの手記を通して語られてます。

怪物的な美貌を持った為に、男に求められる事でしか存在意義を見出せない生まれながらの娼婦ユリコ。自分の存在を認めてもらおうと一生懸命努力するのにすべてが空回り、どんどん壊れていく佐藤和恵。天才的な頭脳を持ちながらも大学では1位になれない挫折からカルト宗教へのめり込んでしまうミツル。この世のものとは思えない美貌の妹を憎み、努力することを放棄し「悪意」という鎧を身に纏い三人を傍観する姉の「わたし」。

そして高校を卒業して約20年後に、ユリコと和恵は娼婦として同じ犯人に殺される。


上下巻と長いのですが一気に読んでしまった。今、かなり消耗してます。食欲ないです。
4人とも極端なキャラにも関わらず共感してしまう部分が少なからずあり、自分の黒い部分を見せつけられたようで苦しいです。
とにかく全編に漂う負のパワーに飲み込まれ、読むのを止めようかと思いながらも怖い物みたさでページを繰る手が止まらない。
妬み、嫉み、劣等感、優越感、差別、エゴ。まさにグロテスク。終盤の和恵の手記が特にすさまじい。死に物狂いで勉強して名門高校へ入学しても、努力しても超えられない美貌のユリコや天才ミツルがいる。一流企業に入社して必死に仕事をしても結局認められず徐々に崩壊していく様がリアルで。そしてやっと手にした自分の居場所。腰まであるかつらを被り、厚化粧を施しガリガリに痩せて3000円で身を売る。
「光り輝く、夜のあたしを見てくれ。」・・・痛すぎる。

でも主人公と思われる語り手の「わたし」の言動も常軌を逸していて、実はこちらの方が怖いかも・・・。

ほんとに人間のダークな部分を書かせたら、桐野夏生に勝る作家はいないのではないでしょうか。そして読むたびに打ちのめされるにも関わらず(「OUT」なんて傍に置いておくのも嫌で早々に売ってしまいました)、手にとってしまうのは何故だろう。
ただし読んだ後は暫く立ち直れないので、ペースは半年か1年に1回位ですが。
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by asbeautifuldays | 2006-12-17 20:13 |